「周りが”なんとなく”院進するから…」 「学部就職したら『理系に来た意味がない』と言われそうで怖い…」 理系学生にとって、この決断はキャリアを左右する最大の悩みです。
しかし、安心してください。
この記事は、あなたが後悔しないための「判断軸」を提示します。
なぜなら、「生涯賃金」や「専門性」といったメリット・デメリットを比較するだけでは、”あなたにとっての”正解は見つからないからです。
本記事では、「学部卒で大企業の開発職は可能か?」というリアルな疑問に答えつつ、「キャリア軸」「研究軸」「研究室軸」という3つの視点から、あなたが決断すべき基準を徹底解説します。
この記事を読めば、「なんとなく」の不安が消え、自信を持ってあなたの進路を決定できます。
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【大前提】データで見る「院進」と「学部就職」のリアル

あなたが今抱えている悩みは、主観的な「雰囲気」や「ネット上の意見」に大きく影響されているはずです。
まずは、客観的な「データ」と「リアル」を見て、冷静に現状を把握することから始めましょう。
理系の大学院進学率は約4割。ただし工学部は7割超
文部科学省の調査(※)によれば、理系学生全体(理・工・農)の大学院進学率は約40%です。
しかし、これは学部によって大きく異なり、工学部系では70%を超える学科も珍しくありません。
つまり、「周りが”なんとなく”院進する」というあなたの感覚は、特に工学部においては「データ的な事実」である可能性が高いのです。
しかし、それは「あなたも進学すべき」という理由にはなりません。
(※参考:文部科学省「学校基本調査」)
生涯賃金と初任給の差は、本当にあるのか?
結論から言えば、差は「ある」というのが通説です。
多くの企業で、修士卒は学部卒よりも初任給が2〜3万円高く設定されており、その差が積み重なることで、生涯賃金(退職金含む)では数千万円の差が生まれるとされています。
ただし、これはあくまで「平均」の話です。
当然ながら、学部卒で高い成果を出し、院卒の平均をはるかに上回る収入を得る人もいます。
「生涯賃金」は、決断の”参考情報”の一つに過ぎません。
【リアルな疑問】「学部卒で大企業の開発職」は可能か?
これは、知恵袋などでも最も多く見られる、非常にリアルな疑問です。
結論は、「可能だが、難易度は高い」です。
より正確に言えば、「どのレベルの”開発”がしたいか」によります。
リサーチによれば、大手メーカー(親会社)の「開発職」は、実際のコーディングや実験というより、「仕様の決定」や「プロジェクト管理」が中心業務となるケースが多いです。
そして、実際の開発・設計(手を動かす作業)は、高度な専門知識を持つ修士卒・博士卒や、専門の子会社・中堅企業が担うという構造も珍しくありません。
もしあなたが「学部卒」で「最前線の開発がしたい」のであれば、無理して大手(親会社)を目指すよりも、むしろ高い技術力を持つ中堅企業や子会社を選んだ方が、「技術者」として早く成長できる可能性すらある、という視点も持つべきです。
決断は「メリット」ではなく「3つの軸」で決めろ

他の記事は「メリット・デメリット」の羅列に終始していますが、それではあなたの悩みは解決しません。
「生涯賃金が高いから」といった他人事のメリットではなく、あなた自身の「キャリア」と「熱意」に基づいた、後悔しないための「3つの判断軸」を提供します。
判断軸1:【キャリア軸】あなたは「何」で給料がほしいか?
これは最も重要な軸です。
あなたは「専門性の深さ」で勝負したいのか、それとも「汎用的なスキル」で勝負したいのかを自問してください。
『専門性』で戦いたい(研究・開発職)
もしあなたが「メーカーの基礎研究職」や「特定分野のスペシャリスト」としてキャリアを築きたいのであれば、迷わず「大学院進学」を推奨します。
特に大手メーカーの「基礎研究」や「R&D」部門は、修士卒以上を応募条件としていることがほとんどです。
「専門性」という武器を研ぐための2年間は、必須の投資となります。
『汎用スキル』で戦いたい(コンサル・技術営業・ITなど)
もしあなたが「研究は手段であって、目的ではない」「研究室の外で自分の力を試したい」と考えるなら、「学部就職」は有力な選択肢です。
あなたが研究で培った「論理的思考力」や「仮説検証スキル」は、コンサルタント、技術営業、ITエンジニアといった、研究職以外の分野でも最強の武器になります。
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判断軸2:【研究軸】あなたは「研究」が本当に好きか?
キャリア軸の次に問われるのが、あなたの「熱意」です。
『好き・楽しい』と感じる
もしあなたが、今の研究テーマや実験、論文読解を「楽しい」「もっと知りたい」と感じているならば、迷わず「大学院進学」を選ぶべきです。
その2年間は、あなたの知的好奇心を最大限に満たす、人生で最も充実した時間になる可能性が高いです。
『つらい・楽しくない』と感じる
逆に、今の研究が「つらい」「楽しくない」「作業だと感じる」のであれば、絶対に「学部就職」を選ぶべきです。
これが、ネットで「大学院 やめとけ」と言われる最大の理由です。
「研究が嫌い」な人間にとって、大学院の2年間は単なる苦行であり、「就活の先延ばし」で得られるメリットはゼロです。
判断軸3:【研究室軸】あなたの研究室は「就活」に協力的か?
これは、知恵袋でも「一番大事」と言われる、非常に現実的な判断軸です。
もし「大学院進学」を選んだ場合、あなたは「〇〇研究室の学生」として就活をすることになります。
- 就活(インターンや面接)を「研究の邪魔」とみなし、快く送り出してくれない
- コアタイムが厳しすぎて、物理的に平日の選考に参加できない
このような「就活に非協力的な研究室」は、残念ながら存在します。
もし自分の研究室がそうであれば、院進した瞬間に、就活で凄まじいハンデを負うことになります。
事前に研究室の先輩に話を聞くなど、内部の「雰囲気」を確認することは必須です。
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【戦略】「学部就職」と「院進」を両立させる、賢い就活術

「3つの軸」で考えても、まだ決断できない。
そんなあなたが、絶対に後悔しないために取るべき「最強の戦略」があります。
それは、「決断を先延ばしにする」のではなく、「両方の選択肢を本気で試す」ことです。
【最強の戦略】3年生で「本気」で就活し、内定を”お守り”にする
知恵袋にも「内定をもらった上で、院進を選んだ」という先輩がいるように、最も賢い戦略は「学部3年生の時点で、一度 “本気で” 就職活動をやり切る」ことです。
- 院試の勉強
- インターンに参加
- 本選考の受験
- 内定の獲得
「無理だ」と思うかもしれませんが、これをやり切ることで、あなたは競合が持てない最強のカードを手に入れます。
それは、「自分は学部卒でも社会に通用する」という圧倒的な”自信”と、「企業が何を求めているか」という”解像度”です。
その内定という”お守り”を持った上で、初めて自分にこう問いかけてください。
「この内定を蹴ってでも、自分はこの研究室で2年間、研究がしたいか?」と。
- ここで「Yes」と即答できた人は、迷わず院進してください。その2年間は、あなたの人生で最も価値のある時間になります。
- ここで「No」と迷った人は、学部就職を選んでも後悔しないでしょう。
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「就活の先延ばし」目的の進学は、絶対に後悔する
逆に、最も愚かな戦略は、「就活が面倒だから」「周りが行くから」という理由で、”なんとなく”大学院に進学することです。
これは、ネットで「大学院 やめとけ」と言われる典型的なパターンです。
なぜなら、その2年後に待っているのは、 「研究への熱意もないため専門性も中途半端で、2歳年を取っただけの自分」 「『なぜ院に進んだの?』という面接官の質問に、何も答えられない自分」 という、学部卒の時より、はるかに過酷な就活だからです。
筆者は、個人的には「大学院に進学すること」を強く推奨しています。
就職はいつでもできますが、体系だった学問を、あれほど集中して学べる時間は、人生であの時しかありません。
社会人になってからその時間を確保するのは、ほぼ不可能です。
それは、あなたの人生において間違いなくユニークな経験になることは確かです。
しかし、それは「目的意識」を持ってこそです。
「就活の先延ばし」というネガティブな理由でその貴重な2年間を無駄にすることだけは、絶対に避けるべきです。
まとめ:後悔しない決断は「3つの軸」から生まれる

「大学院進学」か「学部就職」か。
この理系学生最大の悩みは、メリット・デメリットを比較するだけでは答えが出ません。
この記事で学んだ、あなたが後悔しないための「判断軸」を再確認しましょう。
- データ上、工学系の院進率は高いが、「雰囲気」で決めてはいけない
- 「学部卒で大手の開発職」は難易度が高く、中堅企業の方が成長できる場合もある
- 判断基準は「メリット」ではなく、あなた自身の「3つの軸」(キャリア軸・研究軸・研究室軸)
- 「研究がつらい」なら、院進は絶対に「やめとけ」
- 最強の戦略は、B3で「内定」を獲得し、その上で進路を最終決断すること
- 「就活の先延ばし」目的の院進は、100%後悔する
「なんとなく」で進路を決めるのが、最も危険な選択です。
今日手に入れた「3つの軸」を使い、あなた自身のキャリアに、自信を持って第一歩を踏み出してください。






