「自分の研究、守秘義務があって”どこまで”書けばいいんだろう…」 「共同研究や特許の都合でESに書けない。かといって教授には相談しにくい…」
理系就活の「守秘義務」は、一人で抱え込む深刻な悩みです。
しかし、安心してください。
企業が「守秘義務」の質問で本当に見ているのは、研究内容ではなく、あなたの「コンプライアンス意識(誠実さ)」です。
なぜなら、「アピールしたい」と焦るあまり情報を開示しすぎる学生は、「口が軽い」と判断され不採用になるリスクがあるからです。
本記事では、「教授に相談しにくい」という現実も踏まえ、研究成果を「安全」かつ「最強」のアピールに変える”線引き”と”書き分け術”を、例文付きで徹底解説します。
この記事を読めば、「守秘義務」という悩みは、あなたの「誠実さ」を証明する最高の”武器”に変わります。
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【大前提】そのアピール、命取りかも?企業が「守秘義務」で試す”本当の意図”

まず結論からお伝えします。
企業が研究概要や面接であなたの研究内容を問うとき、その本当の目的は「あなたの誠実さ(コンプライアンス意識)」を試すことにあります。
なぜなら、企業活動そのものが「機密情報」の塊だからです。
顧客データ、開発中の新技術、特許情報など、企業は「外部に漏れてはならない情報」を厳格に管理することで成り立っています。
そんな彼らにとって、機密情報を平気で外部に話す「口が軽い」人材は、採用するだけで将来の経営リスクに直結する「危険な存在」にほかなりません。
たとえば、あなたが面接で「アピールしたい」と焦るあまり、教授の許可なく共同研究先の企業名を明かしたり、未公開の具体的な実験データを話したとしましょう。
面接官は「すごい研究だ」と感心するでしょうか? いいえ。
むしろ「この学生は、入社後も競合他社に機密情報を漏らすかもしれない」という、強烈な懸念を抱きます。
研究内容を懸命にアピールしようとしたその行動が、皮肉にもあなたの「信頼性」を失わせ、不採用の決定打にすらなり得るのです。
つまり、「守秘義務」はあなたの研究内容(What)を試すものではなく、「あなたがルールを守れる、信頼に足る人間か(How)」を見極めるための、最初のテストなのです。
【正攻法】まずは「教授に確認する」という最強の盾を手に入れる

「守秘義務が不安」と感じたとき、あなたが最初にとるべき最も安全で確実な行動は、「研究室の教授(または指導教官)に許可をとる」ことです。
「これくらいなら大丈夫だろう」という自己判断が、就活において一番危険な落とし穴です。
なぜなら、どの情報が機密にあたるかの”線引き”は、研究室ごと、もっと言えばテーマごとに全く異なるからです。
特許出願のタイミングや、共同研究先との契約内容は、その研究室を管理する教授にしか判断できません。
とはいえ、「何を聞けばいいか分からない」という方も多いでしょう。
そこで、教授に確認する際に、そのまま使える3つの質問リストを用意しました。
【教授への確認用:質問リスト】
- 「現在、就職活動で研究概要の提出を求められています。どのレベル(どこ)まで公開可能でしょうか?」
- 「共同研究先(〇〇社など)との規約上、公開が制限されている情報(企業名、具体的な製品名など)はありますか?」
- 「現在出願中、または出願予定の特許に関連し、記載を避けるべきキーワードや技術内容はありますか?」
教授から「この範囲ならOK」という許可を得ること。
それこそが、面接で万が一深く追及された際に「教授の許可を得た範囲でお話ししています」と堂々と答えるための、あなたの「誠実さ」を証明する最強の盾です。
【本記事の核心】教授に相談できない…。「相談しにくい」時の現実的な4ステップ

「正攻法は分かった。でも、うちの教授は研究一筋で、就活の相談ができるふんいきじゃない…」
こうした切実な悩みが数多く見られます。
正論だけでは、あなたの不安は解消できません。
もし教授への相談が難しい場合、諦める前に必ず実行してほしい、現実的な4つの行動ステップを紹介します。
ステップ1:大学の「キャリアセンター(就職課)」に相談する
真っ先に駆け込むべきは、キャリアセンターです。
彼らは「大学の研究」と「学生の就活」の板挟みを解決してきたプロフェッショナルです。
あなたと同じように「守秘義務」と「教授との関係」に悩む理系学生の相談を、毎年何百件も受けています。
彼らは中立的な立場から、以下のような具体的な解決策を提示してくれる可能性があります。
- あなたの大学の「就活ルール」や「過去の事例」
- 教授に代わって、研究内容の公開範囲についてアドバイス
- (場合によっては)教授との間に入ってくれる
これらなどを、具体的な解決策を提示してくれる可能性があります。
一人で抱え込む前に、必ず専門家を頼ってください。
ステップ2:研究室の「先輩のES」を参考にする
最も実践的で、効果的な方法がこれです。
あなたの研究室には、同じような悩みを乗り越えて就職していった先輩が必ずいるはずです。
もし研究室に過去のESが保管されていれば、それ以上に価値のある資料はありません。
- 先輩たちは、どのキーワードを「ぼかし」ていたか?
- どの程度まで具体的に書いていたか?
- 共同研究先をどう表現していたか?
そこには、あなたの研究室における「最適なアピールの型」が詰まっています。
ステップ3:「共同研究契約書」を確認する(もし閲覧可能なら)
もし研究室のサーバーや資料室で、「共同研究契約書」や「秘密保持契約書(NDA)」を閲覧できる立場にあるなら、一度目を通してみましょう。
難解な言葉が並んでいますが、「秘密保持」や「成果の公表」といった条項に、「どの情報を」「いつまで」「どのように」制限するかが明記されています。
これは法的な根拠となるため、何よりも強力な判断材料です。
ステップ4:この後の「ぼかし方」を徹底的にマスターする
上記のステップがすべて実行不可能だった場合。
最終手段は、「自己防衛」の技術を身につけることです。
次のセクションで、企業側に「この学生は誠実だ」と評価されつつ、あなたの能力を最大限アピールするための、具体的な「研究内容のぼかし方」を徹底的に解説します。
【例文】守秘義務レベル別:研究概要の「ぼかし方」書き分け戦略3パターン

教授の確認が取れた場合も、自己防衛が必要な場合も、アピールの核心は「何を(What)」から「いかに(How/Why)」へ移行させることです。
- NGなアピール(What): 「〇〇という物質を発見しました」(機密情報)
- OKなアピール(How/Why): 「前例のない課題に対し、〇〇という工夫で乗り越えました」(あなたの能力)
この原則に基づき、守秘義務のレベルに応じた3つの書き分け戦略を、例文とともに解説します。
パターン1:【公開可】(学会・論文発表済み)
これは最もアピールしやすいパターンです。
研究の成果を堂々と記載しましょう。
ただし、油断は禁物です。
学会発表の要旨をそのまま貼り付けるのはNG。
専門外の人事にも伝わるよう、以下の2点を意識して「かみ砕く」必要があります。
- その研究が「社会や業界のどんな課題」を解決するのか(目的・意義)
- その研究プロセスから「あなたが何を学び、どんな強みを得た」のか(再現性のあるスキル)
パターン2:【一部制限あり】(共同研究・特許出願前)
多くの学生がこのパターンに該当します。
ここがあなたの腕の見せどころです。
核心情報(物質名・企業名・具体的な数値)を意図的にぼかし、あなたの「思考プロセス」と「工夫」に焦点を当ててアピールします。
【悪い例:NG】(”何を”を話しすぎている) 「〇〇社(共同研究先)の主力製品である△△(具体的な商品名)の耐久性を30%向上させるため、新素材××(機密の物質名)を添加する研究を行っています。」
【良い例:OK】(”いかに”をアピールしている) 「ある素材メーカーとの共同研究において、特定用途の部材が抱える耐久性の課題解決に取り組んでいます。私は、従来とは異なる独自のプロセス(※ここに自分の工夫を簡潔に書く)を導入することで、品質向上に貢献しました。」
【ポイント】 「良い例」では、具体的な企業名・商品名・物質名を一切出していません。
しかし、以下のようなこともアピールしています。
- 「素材メーカーとの共同研究」(他者と協働できる経験)
- 「耐久性の課題解決」(研究の目的)
- 「独自のプロセスを導入」(あなたの主体性・工夫)
これらの企業が本当に知りたい「あなたの能力」は、完璧に伝わっています。
これが「ぼかし」の技術です。
パターン3:【原則非公開】(軍事・機密技術など)
研究内容が高度な機密にあたり、ほとんど何も話せない場合です。
一見、絶望的に思えるかもしれませんが、心配ありません。
この状況は、あなたの「誠実さ」と「本質的な能力」をアピールする最大のチャンスです。
この場合、研究の”内容”に触れることは潔く諦めます。
「守秘義務のルールを守る」という誠実さを示した上で、「研究活動を通じて得た、汎用的なスキル」に100%振り切ってアピールしましょう。
【例文】 「私が所属する研究室の規程により、研究内容の詳細について公表することは差し控えさせていただきます。 その代わり、研究活動のプロセスで培った能力についてお話しさせてください。 私の強みは、膨大な先行研究や論文データの中から、最短で最適解を導き出す『課題設定能力』です。この能力は、貴社の〇〇といった業務においても、必ず生かせると考えております。」
このように伝えれば、面接官は「ルールを守れる、誠実な学生だ」そして「研究の本質を理解している」と、むしろあなたに高い評価を与えるはずです。
面接で「その研究、守秘義務は大丈夫?」と聞かれた時の”完璧な”模範回答

ESを通過し、いざ面接へ。
研究内容について話していると、面接官からこう質問されることがあります。
「その研究内容、守秘義務などは大丈夫ですか?」
この質問に、「圧迫面接だ」と身構える必要は一切ありません。
むしろ、これはあなたの「誠実さ」と「コンプライアンス意識」をアピールできる、絶好のボーナス質問だと捉えてください。
面接官は、あなたの研究内容(What)よりも、あなたが「ルールを守れる信頼できる人材か(How)」を最終確認したいだけです。
ここで慌てず、毅然と、かつ誠実に答えることで、あなたの評価は格段に上がります。
想定される状況別に、2つの”完璧な”模範回答を覚えておきましょう。
模範回答1:【正攻法】教授の許可を得ている場合
これが最も堂々と答えられる回答です。
「はい。本日お話しさせていただく内容につきましては、事前に研究室の教授に確認を取り、就職活動において公開可能であるとの許可を得ております。」
この一言で、あなたが「ルールを遵守する誠実な人材」であり、「物事を進める上で適切な手順を踏める人材」であることが同時に証明されます。
模範回答2:【自己防衛】ぼかして説明する場合
教授に確認できなかった場合や、共同研究などで明確な許可が得られていない場合は、こちらを使います。
「はい。本研究は共同研究先との守秘義務契約がございます。 従いまして、具体的な物質名や数値といった機密情報については伏せた上で、私が研究プロセスにおいて『どのような課題意識を持ち』『どのように工夫して乗り越えたか』という点を中心にご説明させていただきます。」
- 守秘義務を認識している(誠実さ)
- 機密部分を伏せる(コンプライアンス意識)
- 代わりに「プロセス」を説明する(論理的思考力)
この3つの能力を同時にアピールできる、非常に強力な回答となります。
この質問をされたら「チャンスだ」と考え、自信を持ってあなたの誠実さをアピールしましょう。
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理系学生の面接についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ:守秘義務は、あなたの「誠実さ」を証明する武器である

理系就活における「守秘義務」という壁は、あなたの研究内容(What)ではなく、あなたが「ルールを守れる信頼できる人材か(How)」を試すためのものです。
この記事で学んだ、守秘義務を乗り越えるための戦略を再確認しましょう。
- 企業が本当に見ているのは、研究内容より「コンプライアンス意識」
- 最強の盾は「教授の許可」であり、自己判断が最も危険
- 「相談しにくい」時は、キャリアセンターや先輩のESを頼る
- アピールすべきは「何を」ではなく「どう工夫したか(How/Why)」
- 面接の質問は、あなたの「誠実さ」をアピールする絶好のチャンス
あなたの不安は、正しい知識と戦略で必ず解消できます。
「安全」かつ「最強」のアピール術を身につけ、自信を持って選考を突破しましょう。




